前田裕幸氏によるゼネコンの役割と売上高についてのお話

建設会社

最終更新日 2024年4月3日 by anyway

⒈あらゆる工事を請け負う責任ある業種

ゼネコンは、ゼネラルコンダクター(Genelral Contractor:総合請負業者)の略称です。

高層マンションやオフィスビル、競技場、空港、トンネル・橋梁に至るまで、大規模な建築・土木工事の施工を行う企業を指します。

大規模な構造物を取り扱うため、社会的影響度や重要性が非常に高く、未来に渡り施工した建造物が目に見える形で残るという点が特徴です。

そのため、やりがいや誇りが持てる仕事に関わりたいと考える就職活動者から就職先として人気の高い業種となっています。

その一方、施工ミスが発覚すると、社会的にも甚大な損失を及ぼすため、非常に責任ある業種です。

総合請負業者という訳のとおり、総合的に工事を請負を行いますが、請け負った工事全てを自社で実施することはほとんどありません。

請負工事を細分化し、元請業者という立場で、多くの実務を担当する下請け業者・専門業者を統率・コントロールし、工事を完成させる役割を担っています。

ゼネラルコンダクターという響きから、日本では大手企業である印象を受けますが、海外におけるゼネラルコンダクターは、特定の専門工事に特化せず、広くあらゆる工事を請負う建設業者と捉えられる方が一般的です。

そのため、海外では比較的小さな会社であることが少なくありません。

その意味では日本と海外で使用されているゼネラルコンダクターでは意味が異なり、和製英語であるといった見解を持つ方もいます。

 

⒉ゼネコンの重要な役割

ゼネコンと一般的な建設・土木の工事会社との相違点に疑問を持つ方も多くいらっしゃると思います。

共通的に認知された定義がはっきりと存在するわけではありません。

下請け業者を多数コントロールしていることが定義の根本にあるわけではなく、主に、設計・施工・研究の自社部門を有しているか、大規模な売上高があるか、の二つのポイントから判別することが多いようです。

設計では、設計を専門に行う建築士や、設計の前段階に必要となる土地の測量のための測量士といった国家資格を有する技術者を多数抱えています。

施工では、工事現場における安全・衛生管理、各工程の進捗管理、コスト管理といった管理が主な実施ポイントです。

安全・衛生管理では、工事現場に出入りするトラックの事故防止から、現場作業員の高所からの墜落防止、工事に伴って発生する粉じんによる作業員の健康被害の防止対策など多岐にわたります。

労働基準法や労働安全衛生法に基づいて、工事現場の労働者の労働時間の管理、休憩場所の整備なども安全衛生管理の事項です。

進捗管理では、工事に必要な資材の納期や、工事における各作業の順序性を整理したうえで、いつまでにどの作業を完了させるか計画し、日々計画に遅れがないかをチェックする必要があります。

進捗が遅れ、契約元である企業や国・地方公共団体と合意した期日までに建造物を完成することができないと、違約金や賠償金、さらには公共事業への入札制限、最悪の場合には入札停止といったペナルティを課せられるリスクもあり、進捗管理の徹底は非常に重要です。

コスト管理については、適正な利益創出のため、人件費や購入する資材などの原価を適切に管理することがポイントです。

 

⒊ゼネコンの売り上げ規模は?

研究では、低コストで高品質な工事を実現に向け、日々技術革新を行う必要性があるため研究部門にて研究を行っています。

耐震性や免震構造、バリアフリーに必要な技術や省エネルギー手法の研究など、時代のニーズを捉え幅広い研究が実施され、研究成果は特許として出願し、大手においては、100以上の独自特許を有する企業も数社存在します。

また、研究部門にて未来のあるべき都市空間を提案している企業も少なくありません。

あるべき都市空間を提案することによって、国や地方公共団体などの建築・土木の需要を喚起する狙いがあるようです。

売上高は、単独で売上高が1兆円を超えている企業も数社存在します。

1兆円を超える売り上げ規模を有する場合は「スーパーゼネコン」と呼ばれ、日本国内だけでなく、海外においても大規模な工事を請負っています。

また、創業からの歴史も古く、100年以上の歴史がある企業も多いです。

売上高3,000億円以上を大手ゼネコンと呼ぶことがありますが、売上規模が小中規模である一方、上場企業も多く、大型商業施設やダム・発電所、地方公共団体の庁舎の建設などの大規模工事を数多く手掛けています。

ゼネコンに対し、サブコンという用語はサブコンストラクターの略称であり、実際の土木・建築工事を請負う会社を指します。

サブコンには、空調・電気・衛生などの建築設備の専門技術を有している会社や、とび職人、大工といった専門職人を多数有し、施工の補助的な役割を果たす会社などさまざまなタイプの会社が存在します。

大規模工事において、ゼネコンは工事を細分化し、サブコンに振り分け、安全管理・進捗管理・コスト管理といった施工全般のコントロールを行う必要があります。

 

 

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▶️前田裕幸 信和建設前社長